嶌田井書店

風の通る或る町に、稀にしか辿り着けない書店がある。

旅記事開設について・予告

先日の文フリ東京ではフリペをお配りいたしました。河嶌がシンガポールのリトルインディア、篠田が京都の祇園祭について書いておりましたが、実はそちらは初回です。これは連載記事だったのでございます。

 

これから第二回以降の記事がアップされます。乞うご期待!です。

 

(篠田くらげ)

豆崎豆太『我ら北高推理研究愛好会(非公認)!』

よく、文学賞の落選理由などで「人間が描けていない」などと言われることがある。あるらしい。馬鹿げた話だと思う。人間を描くとは何なのか。

 

豆崎豆太の書く人間たちが変わり者であることは、読んでみればわかる、と私は思う。かつて『異邦人』のどこが不条理なのかわからなくて頭を抱えた私であるが、作者の描く人間は確かに変わっている。変わっているが、人間である。

 

本書はその作者のミステリ小説である。物語は、高校生の失踪事件を、同じく高校生の「北高推理研究愛好会」のメンバーが解決しようとするところから始まる。状況の確認、推理、転回、結末。このあたりは作者のミステリ作家としての実力を十分に感じることができる。

 

しかし、作者のファンであるならば、推理の部分だけではなく、作者がどんな人間を描こうとしているかに注目せずにはいられないであろう。そして作者の世界に感嘆せざるを得ないであろう。なぜならば、世界とは結局のところ、人間から見た視界のことに他ならないからである。

 

では、読み始めるといい。不条理な世界に浸かるために。
作者のファンになってしまうために。

 

(篠田くらげ)

家登みろく・朝妻久美子『俳句・川柳共詠句集 混線』

篠田です。文フリ東京、お疲れさまでした。出店された皆様、一般参加の皆様、それぞれに楽しまれたでしょうか。

 

私が入手したものの中から感想を述べてみたいと思います。作者の方に伝わりますように、そして作品に興味を持たれた方に伝わりますように、と思います。

 

今回は家登みろく・朝妻久美子『俳句・川柳共詠句集 混線』です。

 

俳句と川柳について持っているイメージはどのようなものでしょうか。俳句は季語が入っているのですよね。「や」とか「かな」とか言ったりする、はず。川柳は、サラリーマン川柳みたいなやつ?ユーモアの入ってるやつ。

 

しかし、俳句も川柳もそれだけにとどまるものではないことを本書は教えてくれます。本書は、同じテーマでふたりの作者が独立して詠んだ句を集めたものです。

 

たとえば、「手帳」だとこういう感じ。

 

年新た手帳に繰り越す夢の数(みろく)
手帳から君がごっそり逃げている(久美子)

 

おおー。「初夢」はどうでしょうか。

 

初夢を忘れて今日を生きてをり(みろく)
幸せな人の初夢嗅ぎ回る(久美子)

 

こんなに自由なんだ、という感じがしないでしょうか。実に生き生きとしていて、現代を生きる人間の呼吸が伝わってきます。

とはいえ巻末のエッセイではお二人とも「自分のジャンルは難しい、大変だ」と書いていらして、短歌をやる私としては「そうだよなあ、大変だよなあ」と思うのですけれど。

575。57577よりは少し短いけれど、狭くはない世界の本でした。

 

(篠田くらげ)

文フリお疲れさまでした

第二十三回文学フリマ東京、お疲れさまでした。お越しくださった皆様、本当にありがとうございました。

 

たくさんの方にお越しいただき、私たちもとても楽しい時間を過ごすことができました。お買い上げいただきました方には、楽しいひとときをお届けすることができていたら嬉しいです。

 

またどこかでお目にかかることができますように。では、どうもありがとうございました。

 

(嶌田井書店一同)

お待ちしております!

ついに文フリ東京が明日になりました。わー。

 

出店側の方も、一般参加の方もドキドキかと思います。私たちもドキドキしております。

 

添付のチラシの通り、今回の新刊は下記2作。

 篠田くらげ : 愛書部くらげ課書評集 其の二

  書肆侃侃房特集。最近出た話題の歌集から過去のミステリー名作まで幅広く。

 河嶌レイ : 写真集「Walking in the Shade」

  シンガポールの風景を中心に、光と影を感じさせるモノクロ写真を多数収録。

 

加えて ” 旅 ” をテーマにしたエッセイのフリーペーパーを、既刊の「化身の森」「花と剣」「愛書部くらげ課書評集」と共にひっさげてまいります。

【2階、エー25、26】でお待ちしております。河嶌、篠田、蒼井、3人ともおります。ぜひぜひお越しくださいませ。

 

(嶌田井書店一同)

 

追伸:

 (嶌田井書店においてに限らず)ブースにてご購入、またお話かけてくださる際、お隣のブースの前にはみ出さないように気を付けていただけますと幸いです。そのようなことは滅多にないのですが、時々トラブルがあるらしく、蛇足ながら念のためのお願いでした。

 

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