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嶌田井書店

風の通る或る町に、稀にしか辿り着けない書店がある。

豆崎豆太『我ら北高推理研究愛好会(非公認)!』

よく、文学賞の落選理由などで「人間が描けていない」などと言われることがある。あるらしい。馬鹿げた話だと思う。人間を描くとは何なのか。

 

豆崎豆太の書く人間たちが変わり者であることは、読んでみればわかる、と私は思う。かつて『異邦人』のどこが不条理なのかわからなくて頭を抱えた私であるが、作者の描く人間は確かに変わっている。変わっているが、人間である。

 

本書はその作者のミステリ小説である。物語は、高校生の失踪事件を、同じく高校生の「北高推理研究愛好会」のメンバーが解決しようとするところから始まる。状況の確認、推理、転回、結末。このあたりは作者のミステリ作家としての実力を十分に感じることができる。

 

しかし、作者のファンであるならば、推理の部分だけではなく、作者がどんな人間を描こうとしているかに注目せずにはいられないであろう。そして作者の世界に感嘆せざるを得ないであろう。なぜならば、世界とは結局のところ、人間から見た視界のことに他ならないからである。

 

では、読み始めるといい。不条理な世界に浸かるために。
作者のファンになってしまうために。

 

(篠田くらげ)

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