嶌田井書店

風の通る或る町に、稀にしか辿り着けない書店がある。

家登みろく・朝妻久美子『俳句・川柳共詠句集 混線』

篠田です。文フリ東京、お疲れさまでした。出店された皆様、一般参加の皆様、それぞれに楽しまれたでしょうか。

 

私が入手したものの中から感想を述べてみたいと思います。作者の方に伝わりますように、そして作品に興味を持たれた方に伝わりますように、と思います。

 

今回は家登みろく・朝妻久美子『俳句・川柳共詠句集 混線』です。

 

俳句と川柳について持っているイメージはどのようなものでしょうか。俳句は季語が入っているのですよね。「や」とか「かな」とか言ったりする、はず。川柳は、サラリーマン川柳みたいなやつ?ユーモアの入ってるやつ。

 

しかし、俳句も川柳もそれだけにとどまるものではないことを本書は教えてくれます。本書は、同じテーマでふたりの作者が独立して詠んだ句を集めたものです。

 

たとえば、「手帳」だとこういう感じ。

 

年新た手帳に繰り越す夢の数(みろく)
手帳から君がごっそり逃げている(久美子)

 

おおー。「初夢」はどうでしょうか。

 

初夢を忘れて今日を生きてをり(みろく)
幸せな人の初夢嗅ぎ回る(久美子)

 

こんなに自由なんだ、という感じがしないでしょうか。実に生き生きとしていて、現代を生きる人間の呼吸が伝わってきます。

とはいえ巻末のエッセイではお二人とも「自分のジャンルは難しい、大変だ」と書いていらして、短歌をやる私としては「そうだよなあ、大変だよなあ」と思うのですけれど。

575。57577よりは少し短いけれど、狭くはない世界の本でした。

 

(篠田くらげ)

文フリお疲れさまでした

第二十三回文学フリマ東京、お疲れさまでした。お越しくださった皆様、本当にありがとうございました。

 

たくさんの方にお越しいただき、私たちもとても楽しい時間を過ごすことができました。お買い上げいただきました方には、楽しいひとときをお届けすることができていたら嬉しいです。

 

またどこかでお目にかかることができますように。では、どうもありがとうございました。

 

(嶌田井書店一同)

お待ちしております!

ついに文フリ東京が明日になりました。わー。

 

出店側の方も、一般参加の方もドキドキかと思います。私たちもドキドキしております。

 

添付のチラシの通り、今回の新刊は下記2作。

 篠田くらげ : 愛書部くらげ課書評集 其の二

  書肆侃侃房特集。最近出た話題の歌集から過去のミステリー名作まで幅広く。

 河嶌レイ : 写真集「Walking in the Shade」

  シンガポールの風景を中心に、光と影を感じさせるモノクロ写真を多数収録。

 

加えて ” 旅 ” をテーマにしたエッセイのフリーペーパーを、既刊の「化身の森」「花と剣」「愛書部くらげ課書評集」と共にひっさげてまいります。

【2階、エー25、26】でお待ちしております。河嶌、篠田、蒼井、3人ともおります。ぜひぜひお越しくださいませ。

 

(嶌田井書店一同)

 

追伸:

 (嶌田井書店においてに限らず)ブースにてご購入、またお話かけてくださる際、お隣のブースの前にはみ出さないように気を付けていただけますと幸いです。そのようなことは滅多にないのですが、時々トラブルがあるらしく、蛇足ながら念のためのお願いでした。

 

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愛書部くらげ課誕生記

篠田です。お疲れさまです。もうすぐ文フリ本番ですね。出店される方は準備も大詰めでしょうか。共にがんばりましょう。

 

今日は書評集の話をしてみたいと思います。


私たち嶌田井書店メンバーが「化身の森」を作るために集まったことは前回の私の記事でお話ししたとおりです。

 

私は朗読担当です。仕事としては、河嶌が小説を書く→私が朗読する→音響を蒼井が作って河嶌と打ち合わせる、というわけで、朗読が終わると私にはそれなりに時間ができます(打ち合わせにも参加しましたけれどね)。自分でもなにかできないかな。そこで思いついたのが書評だったのです。

 

問題は何を取り上げるかですが……。歌集を取り上げることは当然決まっておりました。短歌クラスタですからね。幸いにも話題作が続々刊行されていて、選書に困ることはあまりありませんでした、というより、削るのに苦労しました。

 

しかし歌集だけではつまらない。みんなが興味を持ってくれるような素材はないものか。そこで教科書に載っている本を取り上げることにしました。これならみんな読んだことがあるから大丈夫でしょう。私はさっそくネットで「教科書 国語」と検索し、そこに載っている本を買い込みました。あれこれ読んだ結果、『山月記』『走れメロス』を選び出し、評を書いております。

 

さて、あと何を書こうかな。迷っていたところ、メンバーから「これはどう?」と薦められました。おお!読んだことない。というわけで、最後の本まで決まりました。三島由紀夫『沈める滝』、オスカー・ワイルド『幸福な王子』です。メンバーの好きな本ということで、なるほど、こういう本がお好きなのね……とメンバーの新しい顔を知る機会にもなりました。

 

ついに完成、「愛書部くらげ課書評集」です!今回は新刊「其の二」とともに既刊としてお持ちしますね。よろしくお願い致します。

 

(篠田くらげ)

サークルはじめ狂想曲(1)団体口座開設編

こんばんは。スタッフの蒼井です。

前回はトップバッターにもかかわらず穏やかならぬ記事を書いてしまったので、今回はにこにこ笑顔で参りますね。

え、笑顔のほうが胡散くさい?

 

さて、そもそも嶌田井書店ってなんやねん。という話。

これは三つ前の記事でくらげさんが書いてくださった通りなのですが、もう少しおまけがあります。

なぜ「書店」なぞともったいぶった名前なのか。

 

5月の第二十二回文学フリマ東京では、三人で作った「化身の森」と、レイさんくらげさんそれぞれの作品とを、古井久茂さんのサークル「fulidom」(ふぁりだん、と読みます)にて委託販売させていただきました。

fulidomさんの文学フリマページはこちら!

c.bunfree.net

 

搬入前から撤収にいたるまで、百戦錬磨の古井さんに文フリのマナーや設営に使うもの、ノウハウ、などなどを教えていただき、慣れないながらも当日の販売をばたばたと終えた後のこと。

ありがたいことに少しながら通販の希望を頂いたのです。

 

にわかに色めき立つ三人。

嬉しい。ぜひお届けしたい!しかし通販ということはお金のやりとりが発生する。そもそも作品に三人関わっているけど名義や負担や配分もろもろ、どうするんだ。三人ともサークル活動をおこなったことがなく、そういったことに見当もつかなかったのです。

そこで皆で頭を傾げ傾げ調べた結果。「ゆうちょ銀行なら(法人でなくても)団体名義の口座を作れるらしい!」とのこと。

 

ゆうちょのサイトでは、「法人の口座開設>本人確認」の欄に「人格なき社団に限る」としてひっそり記載されています。

本人確認書類一覧-ゆうちょ銀行

 

よくわからないぞ、という感じですが…
「任意団体口座」で検索すると、過去に口座を開設されたサークルさんがまとめてくださった記事が見つかります。

otomenoikebukuro.sblo.jp

※ 特にこのサイトさんは記事の内容がわかりやすいうえ、情報をアップデートしてくださっていてすばらしいのです!

 

やはり皆さん苦労されているのだなあ。

 

さて、そうとわかれば、と動き出すメンバー。ゆうちょに団体名義で口座を作ろう。口座開設には団体規約というものが必要らしい。この団体は何をやる団体で、誰で構成されていて、どのように運営していますよ、というのが明文化されたものですね。

 

「Webで規約のテンプレートを見つけたので、ざっと書いてみましたよ!」というスピーディなレイさん。

「そもそも、権利能力なき社団の成立要件とは…」と眼鏡をただす法律畑のくらげさん。

「とりあえず、近くの郵便局に聞いてきます!」と、当たって砕けろな蒼井。

 

三者三様のアプローチで(キャラ付けは若干デフォルメしております)、規約と団体名簿をなんとか作り、身分証明と印鑑を持ち、最寄りの郵便局に届け出けました。待つこと数分。親切な局員さんに対応いただきすんなりOK。日々この形の口座開設は厳しくなっているとの話もききますが、地域によって差もあるのかもしれません。なお、メンバーに海外在住者がいる点もこちらは大丈夫でした。

 

すぐに通帳をいただけて、キャッシュカードは後日届きます。ゆうちょは恥ずかしながら使ったことかなかったのですが、オンライン(ゆうちょダイレクト)も使えて便利!ですね。(※ゆうちょダイレクトを使えるようになるには、書類が届くまでの何日かかかった記憶があります。)

 

話がそれました。この口座開設時に団体名としてそれらしいものを…!と考えた結果、「嶌田井書店」という名前が生まれたのであります。

だって、団体規約を次のように格好つけて書き出して…

第1条(目的)

本会は、文芸・音楽・朗読・動画作品の製作及び販売を行うことを目的とする。

 

第2条(名称)

本会の名称を以下のとおりとする。

河嶌レイとゆかいな仲間たち

 

というわけにもいかないではありませんか。

(案はありました)

 

 

以上、団体口座のあれこれは、同人活動をされている方にとっては「いまさら!」な話題だったかもしれませんが、これからやってみようという方もいらっしゃるかもしれませんので、少し書いてみました。

 

次回の蒼井の記事では、(もし書けたら)今回の文フリの打ち合わせに使ったツールなどに触れてみようと思います。

 

ではまた。

 

(蒼井灯)